今回、阿蘇市の町古閑牧野で行われた2021野焼き体験イベントに、カメラマンとして参加してきました。
阿蘇市の小学生による野焼き体験は毎年行われていますが、観光客による野焼き体験は阿蘇地方で初めてということで、テレビ局や新聞社も取材に来られていました。
この記事は、2021年2月7日に行われた、観光客による野焼きイベントの体験レポートです。
ちぃ
林業ときどき農業主婦の
ガイド兼ライターのちぃ です!
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野焼き体験イベントとは?
野焼きって、怖くない?危なくない?
もちろん、油断は禁物ですが、ご心配なく。
野焼き体験の場所は、初心者にとって安全なところが選ばれています。
まず、平地。
そして、燃え移りそうな森や林が周りにないところ。
野焼きのプロである町古閑牧野の組合長をはじめ、熟練したガイドや、牧野関係者、野焼きボランティアさんがしっかり監督・サポートしてくれますので、子どもでも安心して参加できます。
ちぃ
撮影もOK。
牧野とは、牛や馬を放牧する原野、または、
餌となる草を育てる牧草地のこと。
2021年時点で、阿蘇地方には150以上の牧野があります。
ミーティング
この日の体験イベントの参加者は約25名。
青い作業着の方々は、野焼きボランティアさんたちです。
ガイドさんや牧野の方々と一緒に、まずは事前ミーティング。
服装、靴、持ち物が安全かどうか、もう一度チェックします。
- 綿か麻の動きやすい服装
- 歩きやすい運動靴か長靴か地下足袋
- リュックまたはウェストポーチ
- ヘルメット、作業用手ぶくろ、ゴーグル、サングラス、飲み物
ウィンドブレーカーのような化学繊維の洋服は、火の粉が飛んできたら、溶けて穴が開きます。
灰の汚れは落ちにくいので、白っぽい服装も避けたほうが無難だそう。
サンダルやヒールはNGです。
できるだけ頭と顔もタオルで覆い、肌が出ないようにします。
髪が長い方は、しっかり結んで、外に髪が出ないように気をつけましょう。
火のそばは暑いので、飲み物は携帯します。
この日は、2班に分かれて作業にあたります。
1班のリーダーは、ここ町古閑牧野の組合長、市原啓吉さん。
啓吉さんは、初代牧野ガイドでもあり、阿蘇地方の野焼きの大ベテランでもある、とってもすごい人。
2班のリーダーは、町古閑牧野で実際に働いている、牧野ガイド釜崎笙さん。
啓吉さんの教え子で、若いですけど、牧野のことならなんでも知ってる物知り博士。
このお二人の指示のもと、いよいよ作業開始です。
たいまつ作り
まず、草原に火を付けるための、たいまつを作りから。
実際の野焼きでは、ガスバーナーを使いますが、体験イベントでは、昔ながらのたいまつで火をつけるとのこと。
風情があっていいなと思いました。
1mほどの固い茅を両手でつかめるほどの太さの束にします。
次に、やわらかい藁で、茅の束を3ヵ所結ぶのですが、結び方がちょっと特殊。
農業や林業ではよく使う、すぐにほどける結び方です。
ちぃ
初めての結び方に戸惑いつつも、昔ながらのたいまつのできあがり。
燃えて短くなったら、草原内に投げて野焼きの火で自然焼却します。エコですね!
火消し棒の使い方
つづいて、火消し棒で火を消す方法を習いました。
火消し棒とは、竹と蔓で作られていて、手前に飛び火してくる小さな火をたたいて消すためのもの。
小さな火であれば、火消し棒で何度かポンポンたたくと消すことができます。
自然の中にあるものを利用して、道具から作って野焼きしていたとは、昔の人ってすごいですね。
ちなみに、野焼きの大きな炎は自然鎮火するように計画的に燃やしているので、消す必要はないそうです。
ちぃ
ジェットシューター
ジェットシューターとは、20リットルほどの水が入ったオレンジのリュックのことです。
火消し棒で消せない時、思わぬアクシデントが起きた時のために、ジェットシューター係が常に火の動きを見守ります。
人力の消防車ですね…体力と経験が必要な作業です。
重くて使い方が難しいので、熟練したスタッフが担当してくれます。
火入れ
たいまつで火をつける係りと、火消し棒で火を消す係り、ジェットシューター係りと役割分担して、いざ出発。
自分たちで作った、たいまつで火を付けていきます。
写真には写っていませんが、子どもさんのすぐ後ろには、保護者の方と、市原組合長と、ジェットシューターを背負ったボランティアさんが片時も離れず、見守っておられました。
※ 本来は必ず手ぶくろ着用
最初に火をつけた時は、思わず歓声が上がりました。
火はあっという間に燃え広がります。炎の高さが30Mに達することもあるそうです。
燃え盛る炎の音で、お互いの声も聞こえないほど。
離れていても、熱気と、炎が巻き起こす旋風を感じました。
マスクとサングラスで参加しましたが、タオルで顔を完全に覆ってゴーグルをつけたほうがいいと思いました。
火消し棒をもった火消し隊も大活躍。
丘と平地の境目でくすぶる小さな火を見逃さずに確実に消していきます。
丘のふもとに付けられた火は、上に向かって燃えていきます。
なぜなら、野焼きする丘には、火の燃料となる背の高い草を意図的に残してあるから。
燃える草が生えていない手前の平地には燃え広がらないよう、事前に考えられているのですね。
重いジェットシューターを背負って、炎を見守る野焼きボランティアさん。
とても頼もしいです。
炎と一緒に、大量の灰が宙を舞います。まだ燃えている灰(火の粉)が飛んでくることも。
綿か麻の洋服で!と言われた理由がよく分かりました。
左回りの1班と右回りの2班が、それぞれ丘ををぐるっと半周し、炎と共に合流しました。
遠くから見ると、直線的に動く炎の性質がよく分かります。
野焼きの炎が自然に消えるためには、炎と炎が出会うように計算して火を付けることが大切なんだそう。
ちぃ
丘だけ、こんがりきれいに焼けました。
最後に、みんなで記念撮影して、野焼き体験イベントは、無事、安全に終了!
作業用倉庫(車で1,2分)に簡易トイレはありますが、水洗トイレではないため、気になる方は、事前に済ませておくほうが無難です。
お申し込みについて
参考 2022野焼き体験イベントあそたん2022野焼き体験イベントのお申し込みは ASOTANガイドツアーズ へ。
時期は、毎年2月〜3月頃です。
野焼きの実施は、天候に左右されるため、イベントが延期になることが予想されます。
実際、今年のイベントもそうでした。
前日だけでなく、前々日が雨でも野焼きはできませんし、当日、霜が降りたら、火がつかないことも。
強風のため、消防の許可が下りない時もあります。
急な予定変更でも大丈夫という方に向いているイベントかもしれませんが、
本当に貴重な体験なので、ぜひおすすめしたいです!
まとめ
自然の力を体全体で感じた、野焼き体験。
野焼きのための前準備がどれだけ大変か、ということも聞けて、いい勉強になりました。
火が燃え移らないよう草原の周りの草を刈って輪地を作り、そこを焼きます。
いわゆる防火帯作り。
牧野組合と野焼きボランティアさん達は、9月~10月頃から、野焼きの準備として、輪地切り、輪地焼の作業を行っています。
草原を守るための、皆さんの努力があってこその野焼きなのですね。
機会があれば、ぜひまた参加したいと思うイベントでした。
ASOTANガイドツアーズ・野焼き体験イベント | |
集合場所 | 詳細は申込受付メールにて |
トイレ | 簡易トイレのみ |
アクセス | 熊本インターから1時間半。 宮地駅から20~30分。 |
時期 | 2月〜3月 |
所要時間 | 2時間 |
参加費 | 大人4,000円/人・小人2,000円/人 |
服装 | 動きやすい綿か麻の作業着。マスク、 ヘルメット、ゴーグル、手袋も必須。 |
靴 | 歩きやすい運動靴か長靴か地下足袋。 |
その他 | リュックやウェストポーチ。飲み物。 |
WEB | 公式サイト|Instagram |
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。